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除菌・脱臭に利用できる世界初のオゾンハイドレートを開発
~装置なしで手軽に使える 環境にやさしいオゾンの貯蔵・運搬が実現~

2018年08月31日

ニュース

 株式会社IHI(所在地:東京都江東区,社長:満岡 次郎,以下「IHI」)とグループ会社である株式会社IHIプラント(所在地:東京都江東区,社長:大澤 祐介,以下「IPC」)は,このたび,慶應義塾大学理工学部 大村 亮教授と共同で,除菌・脱臭に優れた,オゾンハイドレートの実用的な製造技術(以下「本技術」)の開発に世界で初めて成功しました。

 オゾン(※1)は優れた除菌・脱臭能力を有し,残留毒性が無いため環境に優しく,従来使用されている薬剤と比較して安全に使用することができます。一方,短時間で酸素に分解されるオゾンを保存することは難しく,使用する際には,オゾン除菌装置(※2)を用いて発生させる必要がありますが,使用頻度の少ないお客さまにとっては,装置の購入・保有コストを要することが課題となっていました。

 今回,IPCとIHIが慶應義塾大学と共同で開発した本技術は,低温高圧状態にした水とオゾンを混ぜ合わせることで,オゾンハイドレートを製造するものです。オゾンハイドレートとは,水分子が形成する籠状のハイドレート(※3)にオゾン分子を内包する固体結晶であり,-25℃以下の低温環境で高濃度のオゾンを長期間保存することが可能です。本技術によって,オゾン除菌装置を保有せずとも,必要に応じてオゾンハイドレートを利用することにより,使用頻度が少ないお客さまでも低コストで,オゾンによる除菌・脱臭を行うことが可能となります。また,電源が無い,あるいは結露・凍結するような環境で放電できず,オゾン除菌装置を使用できない場合でも,オゾンハイドレートを利用することが可能です。本技術の開発には,LNGをはじめとした超低温貯蔵設備の建設で培ったIPCのエンジニアリング技術と,オゾン除菌装置を扱うIHIグループの技術が活かされています。

 このオゾンハイドレートは分解すると,高濃度のオゾンガスとして気化・拡散するという特性を利用して空間・水を浄化します。例えば,配送車内の脱臭,青果物などの表面を除菌することによる腐敗抑制に利用でき,物流業,農業,漁業,畜産業,排水処理業などにおける様々な環境に適用できると期待されています。

 IPCとIHIは今後,オゾンハイドレートのサンプル試験を様々な場面で行い,除菌・脱臭効果を実証するとともに,製造・販売の事業化に向けて,製造プロセスの自動化や低コスト化に取り組みます。両社は,お客さまの環境改善ニーズに応えるために,環境に優しいオゾンに関する取り組みを加速させていきます。

(※1)オゾン
  自然界に存在し,フッ素の次に強い酸化力で脱臭・除菌が可能。酸素に放電することで生成可能なため,ランニングコストが低い。オゾンは,酸素に比べ非常に不安定な化合物で,時間が経過すると酸素に変化していくため,残留毒性がなく安全なガスとして多くの分野で利用されている。
(※2)オゾン除菌装置
  放電により,空気中の酸素分子からオゾンを生成し,吸引した空気を除菌・脱臭して空気中に放出する装置や,空気中にオゾンを放散することで,空間を除菌・脱臭する装置のこと。
(※3)ハイドレート
  水分子の籠の中に,別の分子が入った結晶。包接水和物とも呼ばれる。低温高圧で生成し,高温低圧になると結晶が壊れ,中の分子のガスが発生する。

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